映画「ワイルド・アムステルダム」

3月15日売りのPENの巻頭ニュースでも紹介したけれど、3月1日からオランダ全国で上映されている「ワイルド・アムステルダム」という映画、面白かった。

人間とともにアムステルダムで暮らすさまざまな動物の生態を、スピーディーな映像とアップテンポな音楽で描き出した異色の自然ドキュメンタリー映画で、どのシーンも背景に広がるのは見慣れた街並みばかり。役名アバトゥトゥというおっとり系の猫が案内役をつとめている。

この映画の監督マルク・フェルケルクさん(写真):「都会という場所は、”自然”にとっては居心地の悪い場所だと考えられがちだが、動植物は想像以上にしたたかで柔軟。都市環境に適応し、賢く生きている。この映画では、人々の生活のすぐ隣で、こんなにもエキサイティングなワイルドライフが繰り広げられているという驚きを表現したかった。彼らもまた、あなたたちと同じアムステルダマー。この街はほんとうに多彩ですよ(笑)」

彼の言う通り、180以上の国籍の人々が住む多文化都市アムステルダムは、約10000種の動植物が生息する生物多様都市でもある。オランダ全域に生息する動植物は約40000種と言われているから、その1/4もがこの街にも生息していることになる。うち約300種は、法律で指定された保護種。世界の都市に先駆けて、長年生物多様性に力を入れてきた市当局の努力は、確実に功を奏している。

映画を観る前フェルケルクさんに、「この映画を観たあとは街が違って見えますよ」と言われたのだが、それがあまりにもホントにホントで驚いた。見慣れた街並みはとてもビビッドに見えたし、今までは気付きもしなかったような街のディテールに目がいくようになった。そして何よりも、以前よりも温かい眼差しで街を眺めるようになった。

PS EYE映画博物館始め、街の数カ所の映画館で英語版も上映している。機会があれば、是非アムステルダムで観て欲しい一本だ。