アムステルダム国立美術館の壁画

4月にリニューアルオープンして以来、連日7千人から1万人が来館する国立美術館。
8月22日には、100万人目の来観客を迎えた。

そんな国立美術館の、個人的な思い出話をひとつ・・・

2007年のことだ。

国立美術館の壁画修復・復元作業の真っ最中、その様子を取材しに行ったことがある。
美術修復を学ぶ大勢の学生たちが、1センチ四方単位の細かい作業をしていた。


この美術館を設計したピエール・カウペルスは、建築だけではなく、庭園や館内の装飾まで自ら手がけていた。だが、1950年代、アートシーンはミニマリズムに移行。天井や壁の豪華の装飾は、白いペンキで塗りつぶされたのである。
その白いペンキを、小さなメスで丁寧に剥がしている。
まさか館内中のペンキをこんな風に剥がしていくのかと仰天したが、さすがにそれは不可能なので大部分は再現される。
型紙を使って、細かな模様を丁寧に描いていく。そのスピードを見ていると、近い将来、背後に広がる何ヘクタールもの白い壁が絵柄で埋め尽くされることが想像できない。
取材をしながら、気が遠くなった。

そんな思い出があるせいか、リニューアルオープンで一番感激したのは、見事な壁画を見た時だった。レンブラントの「夜景」があるメインの展示会場やその回廊の壁は、彼女たちの「汗と涙」(?)の結晶で埋め尽くされているのだ。
実際にこの壁画を見る機会があったら、学生たちの地道な作業に少しだけ思いを馳せてみてほしい。

写真は、2007年の取材時に撮影したもの。