アムステルダムのコーヒーショップ政策 

ソフトドラッグの黙認政策をとるオランダでは、コーヒーショップと呼ばれる販売店で、18歳以上一回5グラムまでマリファナやハシシを購入することができる。

この春オランダ南部の3つの州で導入されていた大麻パス制度が、大きな波紋を呼んでいる。この制度は、ソフトドラッグを購入できる資格を18才以上のオランダ居住者に限り、麻薬ツーリズムや関連する組織犯罪を締めだそうという狙いで、来年には全国導入が予定されている。

だが、アムステルダムのファン・デル・ラーン市長はこの制度を強く批判し、市内220軒のコーヒーショップでは、事実上の実施はしないと発表。メディアが大きく取り上げた。
この街を訪れる観光客は、年間約600〜700万人。うち約150万人がコーヒーショップに足を運ぶ。この観光客を閉め出してしまえば、今は市の管理下にある販売の場を目の届かない路上や闇へと追いやるだけだというのが市長の言い分だ。

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大麻パス制度は、机上の空論

大麻パス制度は、4月に退陣した前政権が打ち出したもので、先日発足した新政権が引き継いだ。その施行にあたっては、「自治体の判断を考慮し、適切な措置をとる」という但し書きがあり、ファン・デル・ラーン市長は、アムステルダムにとっての適切な措置はこの制度を実施しないこととした。

「かつて麻薬の路上売買が盛んに行われていた治安の悪い地区を、市当局や警察、住民達は20年もの年月をかけて一掃し、安全な地区に建て直した」と市長。「コーヒーショップ制度は、最低年齢制限の厳守やソフトドラッグの質の管理、違法販売防止に大きく貢献している。そこから観光客を閉め出すのは、せっかくの制度の恩恵をドブに捨てるようなもの」という。

これを受けて、法務省は「ファン・デル・ラーン市長の決断を、法務省は許可しない」と声明している。
とは言っても、コーヒーショップは自治体の管理下にあるため、取り締まりの裁量権を持つのは市長だ。
コーヒーショップやソフトドラッグを身近なものとして生活している市民には、大麻パス制度が治安の改善に結びつくとは想像しがたい。現場を知らない政府が考え出した机上の空論というのが、率直な印象だ。

個人の使用は黙認するけれど、大量の栽培や仕入れは違法という大きな矛盾の上に成り立つソフトドラッグの容認政策。オランダらしい究極の実利主義が生み出した不思議な制度である。