400 women フェミサイド犠牲者のポートレート展=from update NL=

アムステルダムの外れにある砂糖工場の跡地で、「400women」という絵画展が開催されていた。

175人の若い女性たちのポートレート画を集めたこの展覧会は、イギリスのアーティスト、タムシン・チャレンジャーさんが企画。彼女の呼びかけに応えた多くのアーティストが参加したプロジェクトだ。

描かれた女性のほとんどはメキシコ人だが、オランダ人もひとりいる。唯一のヨーロッパ人だ。皆、メキシコ北部の工業都市シウダー・フアレスで殺害された女性たち、フェミサイドの被害者である。

砂漠に囲まれたシウダー・フアレスはチワワ州最大の都市で、アメリカとの国境に近い。
戦争紛争地域を除けば、今「世界で最も危険な都市」と言われているらしい。

この街では、日々多数の強姦虐殺事件が起こっているが、犯人検挙率はわずか2〜3%。過去14年で約1000件強の被害が登録されているが、この数字は氷山の一角にに過ぎず、正確な件数は把握されていないと言う。

最近では、遺体が発見されずに行方不明になるケースが多く、警察による捜査は始まりすらしない。被害者の年齢は年々下がっていて、13〜18才の少女が主なターゲットだ。

この検挙率の異常な低さは、犯罪組織の力の強さを物語っている。

街は、巨大な犯罪組織であるドラッグカルテルに支配された無法地帯。男性優位のマッチョ文化や根強い貧困から、残虐な性犯罪があとをたたない。
警察や被害者の遺族たちが、誰が犯人かを知っているケースも少なくないらしい。
犯人が無罪釈放されたことに抗議した被害者の母親が白昼堂々裁判所の前で射殺されるなど、街全体が全く機能しない法とともに泣き寝入りしている。

多くのケースでは、被害者の女性達は極めて残虐な方法で殺害され、遺体は砂漠に、まるでごみのように捨てられている。

そんなシウダー・フアレスの状況に対する抗議声明として企画されたのが、このポートレート展だ。
アーティストたちは、被害者たちの生前の写真を入手し、遺体が発見された場所や状況などに関する情報を集めて制作に臨んだ。
一被害者というアノニマスな存在だった女性たちに顔を名前を与え、このあり得ない状況を広く世界に知らしめるのが狙いである。

描かれている少女達の中には、3才、5才、7才といった子供もいる。

唯一のヨーロッパ人被害者、オランダ人のヘスター・ファン・ニーロプさん(当時27才)は、1998年、ホテルの一室で強姦され殺害されている。

ヘスターさんのポートレート。モノクロで直線的な構図は、ヘスターさんが建築家であったことを象徴している

オランダでは、へスターさんの被害が繰り返し報道されていたことから、シウダー・フアレスの惨状について知る人は比較的多い。
とは言うものの、真の実状は平和なオランダからは想像も及ばず、小さな少女を含む大勢の被害者を前に、訪れた人々は絶句していた。

この展覧会は、オランダに先駆けイギリスでも開催され、大反響を呼んでいた。 続く